併合認定

以前、障害年金の差引認定について記事にしましたが、併合認定参考表は差し引く時だけでなく、複数の障害をあわせて障害年金を請求する際にも使用します。

併合認定とは

併合認定は、日本年金機構による「障害認定基準」(109頁)において、次のように定められています。

併合(加重)認定は、次に掲げる場合に行う。
(1) 障害認定日において、認定の対象となる障害が2つ以上ある場合(併合認定)
(2) 「はじめて2級」による障害基礎年金又は障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合(併合認定)
(3) (省略)
(4) 併合認定の制限
同一部位に複数の障害が併存する場合、併合認定の結果が国年令別表、厚年令別表第1又は厚年令別表第2に明示されているものとの均衡を失する場合には、明示されている等級を超えることはできない。

そのため、併合認定が適用されるのは以下の場合に限定されます。

  • 障害認定日に2つ以上の障害がある場合
  • はじめて2級による請求の場合

併合判定参考表

当事務所は、視覚障害専門の社労士事務所ですので、ここでは視覚障害のみを抜粋してお示しします。
また、併合判定参考表の全体版は、下記のページをご確認ください。

障害の程度番号区分障害の状態
1級1号両眼が失明したもの
10視力の良い方の眼の視力が0.03以下のもの、又は視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
11ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの、又は自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級2号視力の良い方の眼の視力が0.07以下のもの、又は視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの、又は自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
4号身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの)
3級5号一眼の視力が0.02以下、かつ、他眼の視力が0.1以下のもの
6号視力の良い方の眼の視力が0.1以下のもの
ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下のもの、又は自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下のもの
3級(治らないもの)・障害手当金(治ったもの)8号一眼の視力が0.02以下のもの
9号視力の良い方の眼の視力が0.6以下のもの
一眼の視力が0.06以下のもの
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
両眼による視野が2分の1以上欠損したもの、ゴールドマン型視野計による測定の結果、Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの、又は自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下のもの若しくは両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
10号一眼の視力が0.1以下のもの
両眼の調整機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
11号両眼の調節機能又は運動機能に著しい障害を残すもの
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
12号一眼の調節機能に著しい障害を残すもの
一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
13号一眼の視力が0.6以下のもの
一眼の半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
両眼のまぶたの一部に欠損を残すもの

事例

以下は架空の事例です。

1 弱視と糖尿病性網膜症の事例

Aさんは、幼少期から両目とも弱視で、矯正視力が両目とも0.1でした。

Aさんの弱視は、障害厚生年金3級相当であり障害要件が2級に満たないため、20歳を超えても20歳前傷病による障害基礎年金を受給することができませんでした。

矯正視力が変わらないまま、Aさんが自営業を営んで国民年金に加入していた50歳の時、糖尿病と糖尿病性網膜症を発症しました。

糖尿病の障害認定日の状態は、矯正視力は変わらず両目とも0.1、視野は自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下のものになりました。

この場合に、併合認定を用いることにより受給できるか検討します。

  • 先発障害(弱視)視力:併合判定参考表第6号1に該当。
  • 後発障害(糖尿病性網膜症)視力:併合判定参考表第6号2に該当。

別表2から6号と6号の併合は、併合番号4号となるので、障害年金2級が受給できることになります。

Aさんの場合は、初診日が20歳前と国民年金加入時のため、障害厚生年金2級は受給できませんが、2つの障害を併合することで障害基礎年金2級を受給することができるようになりました。

2 先天性難聴と網膜色素変性症の場合

Bさんは、先天性難聴があり、両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のものでした。

Bさんの先天性難聴は、障害厚生年金3級相当であり障害要件が2級に満たないため、20歳を超えても20歳前傷病による障害基礎年金を受給することができませんでした。

先天性難聴が改善することなく、Bさんが学生で国民年金の学生納付特例を利用していた22歳の時、網膜色素変性症を発症しました。

網膜色素変性症の障害認定日の状態は、先天性難聴は両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のもので、網膜色素変性症は両眼による視野が2分の1以上欠損したものでした。

この場合に、併合認定を用いることにより受給できるか検討します。

  • 後発障害(先天性難聴)聴覚:併合判定参考表第5号2に該当。
  • 先発障害(網膜色素変性症)視野:併合判定参考表第9号4に該当。

別表2から5号と9号の併合は、併合番号5号となるので、障害厚生年金を受給できないBさんの場合、障害認定日時点で併合をしても障害年金を受給できないことになります。

その後、Bさんが30歳になった時、網膜色素変性症が進行したため、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるものに該当することになりました。

この場合に、併合認定を用いることにより受給できるか検討します。

  • 後発障害(先天性難聴)聴覚:併合判定参考表第5号2に該当。
  • 先発障害(網膜色素変性症)視野:併合判定参考表第4号7に該当。

別表2から5号と4号の併合は、併合番号1号となるので、障害年金1級を受給できることになります。

Bさんの場合は、初診日が20歳前と学生納付特例利用時のため、障害厚生年金1級は受給できませんが、2つの障害を併合することで障害基礎年金1級を受給することができるようになりました。


Bさんの場合、「はじめて2級」で1級に該当することになりますが、日本年金機構の「障害認定基準」(2頁)により、認められています。
一般的には、「はじめて1級」と呼ぶことが多いです。

「はじめて2級による年金」とは、既に基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準障害と他の障害とを併合して障害等級が級又は2級に該当する程度の障害の状態に至った場合に支給される障害基礎年金及び障害厚生年金をいう。

当事務所は、当事者社労士による視覚障害専門の社労士事務所です。
視覚以外の障害にも対応していますので、上記のような重複障害の場合も対応しています。
「もしかしたら…」「違うかもしれないけど…」で構いません。
お気軽にお問い合わせください。

視覚障害障害年金