障害者の高速道路料金の割引概要
障害者手帳による高速道路料金の割引があることはご存知でしょうか?
障害者手帳の所持者が、事前の手続きを経て、高速道路を利用する場合に、通常料金(ETCをご利用の方はETC通常料金)の半額が割引される制度です。
さらに、令和5年3月27日以降は、レンタカーや台車等での利用や、介護運転の方のタクシー利用も可能となりました。
割引対象は、障害者手帳に記載されている「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」が第1種または第2種かによって定められており次のとおりです。
| 本人運転 | 介護運転 | |
| 第1種 | ○ | ○ |
| 第2種 | ○ | × |
※介護運転は、障害者本人が同乗し本人以外が運転する場合です。
視覚障害者での車運転
さて、今回のブログて指摘したい点ですが…
本人運転とされているのに、運転出来ない障害者がいる!
ということです。
普通第一種の運転免許には、視力の合格基準として下記の要件が示されています。
両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上、又は一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること
一方、視力障害で身体障害者手帳が取得できる最も低い6級は、下記の要件となっています。
視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの
つまり、身体障害者手帳の6級に該当する視力障害者は、良いほうの視力でも0.7以上はないことが明らかであり、本人運転ができるはずがなく、介護者に運転してもらっても割引してもらえないということになるのです。
また、身体障害者手帳の5級に該当する視力障害者も、下記の表のとおり2種に該当します。
| 視力障害 | 視野障害 | |
| 1級 | 第1種 | 第1種 |
| 2級 | 第1種 | 第1種 |
| 3級 | 第1種 | 第1種 |
| 4級 | 第1種 | 第2種 |
| 5級 | 第2種 | 第2種 |
| 6級 | 第2種 | ー |
視力障害でいうと、5級と6級が身体障害者手帳を取得しても、事実上高速道路料金の割引を受けることができないことになります。
視野障害の場合
私が最初に身体障害者手帳を取得した時は、視野障害による4級だったため、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」は第2種でした。
そのため、「あなたは自分で運転できますよ」と、都道府県公安委員会からお墨付きをもらったかのように思い、視野が狭いと分かっていても車を運転することは多々ありました。
あくまで個人の感想です。
ただ、次第に視野の狭さを自覚するようになり、羞明や夜盲の症状もあったため、車の運転はできるかぎり控えていました。
視野障害による身体障害者手帳4級の所持者でも、車の運転がしんどい方もおられると思います…。
身体障害者手帳を取得できない人にも…
さらに言えば、視野障害による身体障害者手帳5級に該当しなくても、車の運転ができない方もおられます。
運転免許証の視力の合格基準として、「一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること」を挙げていました。
一眼が見えない方で、もう一眼の視力が0.7以上あっても、左右150度未満の場合は運転免許を取得・更新できません。
身体障害者手帳の視野障害で「両眼による視野が2分の1以上欠損」との項目があり、そのなかで、生理的限界はⅠ/4視標で内60度、外95度とされています。
そのため、内と外を合わせて155度が、障害者手帳の基準のうえで示されている生理的限界になります。
運転免許における視野検査がⅠ/4視標相当であるかについては、検査機器が異なることから詳しくわかりませんが、厳しい試験であることには変わりないと思います。
高速道路料金の割引について、より視覚障害者の実情に応じて割引を受けられるようになることを切に願います。
また、根本的な解決策として、車の運転ができない(運転免許を取得・更新できない)視覚障害者に対して身体障害者手帳7級を新設していくことが望ましいようにも思います。
例えば、下記のようにすれば自動車運転免許を取得できなくても、障害者手帳による公共交通機関の割引が受けられます。
- 両眼ともに0.6以下
- 視力の良いほうの眼の視力が0.7以上及び左右の視野が150度未満、かつ、他方の眼の視力が0.3未満
実際に、肢体不自由の身体障害者手帳には7級が存在しますので検討する余地はあるように思います。
ただし、身体障害者手帳7級のみで身体障害者手帳が交付されないことを踏まえると、現在の6級と7級の間の級を新設するや、視力障害7級のみ身体障害者手帳を交付する特例など、上記の状態で身体障害者手帳を交付できるようにする方法を検討する必要があると思います。
車の運転すら目が悪くてできず公共交通機関しか利用できないのに、障害者手帳を取得できなくて、公共交通機関の割引・減免制度が利用できないのは、不当な差別といえるのではないでしょうか。
ちなみに、日本の運転免許に厳しい基準があるとも言えなくもないのですが、この基準があるからこそ事故件数が今の数値で推移しているとも考えられますので、運転免許の要件緩和をして視覚障害者による事故が増えたら元も子もない…と思っています。
まとめ
- 障害者による高速道路料金の割引が「本人運転」とされているにもかかわらず、運転免許を取得することができず、運転できるはずがないという矛盾が生じている問題がある。
- 視覚障害による身体障害者手帳を取得できない方にも、運転免許を取得できない場合があり、障害によるハンデがあるにもかかわらず対応されていない問題がある。
当事務所は、障害年金専門の社労士事務所です。視力障害及び視野障害が5級~6級の場合、治るものであれば障害手当金、治らないものであれば障害厚生年金3級が受給できる障害状態です。
まだ身体障害者手帳を取得していなくても、確認したら取得できる状態だった…ということもありますので、「もしかしたら…」という方は、一度お問い合わせください。



