日雇労働被保険者について

日雇労働被保険者の定義

次の3つの要件を全て満たす者は、雇用保険の日雇労働被保険者となります。

  1. 日々雇用される者または30日以内の期間を定めて雇用される者(日数要件)
  2. 被保険者の除外事由に該当しない者(除外要件)
  3. 居住地又は事業所地が適用区域である者(場所的要件)

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

日数要件

雇用保険法第42条は、次のように定義されています。

この節において日雇労働者とは、次の各号のいずれかに該当する労働者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された者(次条第二項の認可を受けた者を除く。)を除く。)をいう。
一 日々雇用される者
二 三十日以内の期間を定めて雇用される者

前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者例えば、3月の時点で1月に18日、2月に20日同じ事業主Xに雇用されていた者は、途中で雇用期間が途切れていても、3月から事業主Xに雇用される場合は、一般被保険者になるということ。
同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された者日雇労働被保険者は、30日以内の雇用期間なので、雇用期間が途切れることなく31日目を迎えた者は一般被保険者になるということ。

「適用事業」とは、雇用保険法第5条により「労働者が雇用される事業を適用事業」となるため、一人でも労働者(日雇労働者を含む)がいれば適用事業となります。

除外要件

雇用保険法第43条は、日雇労働被保険者を「被保険者である日雇労働者であつて、次の各号のいずれかに該当するもの」と定めています。

そのため、下記に示す雇用保険法第6条にある被保険者の適用除外に該当する場合は、日雇労働被保険者となることができません。

  • 昼間学生(卒業後にそのまま雇用される者、休学中の者、事業主から承認を得た社会人大学院生等を除く)
  • 船員であって漁船に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)
  • 公務員等で離職した際に支給される給付額が雇用保険の給付額より多い者

注意すべきは、任意で適用除外になることはできないという点です。健康保険法による日雇特例被保険者は、適用除外承認申請書を提出することができましたが、雇用保険法による日雇労働被保険者は、このような承認申請書はありません。何歳であろうと日雇労働被保険者となり得るのでご留意ください。

場所的要件

雇用保険法第43条第1項及び第2項は、次のように定義されています。

被保険者である日雇労働者であつて、次の各号のいずれかに該当するもの(以下「日雇労働被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、日雇労働求職者給付金を支給する。
一 特別区若しくは公共職業安定所の所在する市町村の区域(厚生労働大臣が指定する区域を除く。)又はこれらに隣接する市町村の全部又は一部の区域であつて、厚生労働大臣が指定するもの(以下この項において「適用区域」という。)に居住し、適用事業に雇用される者
二 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
三 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業であつて、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づいて厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
四 前三号に掲げる者のほか、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けた者
2 日雇労働被保険者が前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合又は同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された場合において、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けたときは、その者は、引き続き、日雇労働被保険者となることができる。

そのため、一から三までに該当する労働者は、日雇労働被保険者となり保険料を納付することが義務となります(以下、義務である日雇労働被保険者)。

また、四により居住地及び事業所地が適用区域外(除外区域)にある者は、認可があれば任意加入することができます(以下、任意加入の日雇労働被保険者)。

場所的要件の適用区域一覧

ここで問題となるのが、適用区域はどこなのかということです。

全自治体を当事務所で調べ、一覧を作成させていただきました。

記入ミス等があっても責任は負いかねますので、あくまで参考程度に利用され、雇用保険上の日雇労働者となる方は、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)にお問い合わせください。


北海道地方

東北地方

関東地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

九州地方


適用区域一覧の作成にあたっての留意点

適用区域一覧を作成するにあたり、厚生労働省職業安定局雇用保険課が公表している令和7年10月1日以降分の「業務取扱要領 90001-91000 雇用保険日雇関係」(以下、業務取扱要領)7頁にある留意事項を参考としました。

除外区域に関する告示は、積極的に適用区域とする区域を指定したものではないから、安定所の所在する市町村の区域が拡大し、又は一部が分離した場合は、その拡大した区域は、その拡大に伴って適用区域となり、また、分離した区域は、その分離に伴って適用区域とならないこととなるものであるから、これらがあった場合に、適用区域の実体的変更を排除し、適用区域を従来どおりとしようとするときは、拡大した全区域については除外区域として指定することを要し、分離した全区域については新たに隣接区域として指定することを要するものであるから留意する。

そのため、下記のように作成することとしました。

  • ハローワークの所在する市町村が旧市名のまま合併により拡大した場合は、適用除外とされていた自治体でも、告示が改正されていないため、適用区域として表記しました。
  • 新設合併と編入合併まで対応するべきかは不明であるため、適用区域に合併された除外区域は、適用区域に変更して表記しました。
  • 適用区域とされていた自治体が複数集まり、新たな自治体名となる場合は、旧自治体名を範囲内として表記しました(なお、合併する全ての自治体が適用区域であれば、全区域が対応であるため「〇」としました)。

あくまで、個人的な解釈によるものです。

加入手続き

資格取得届等の提出

義務である日雇労働被保険者は、該当するに至った日(日雇労働被保険者として仕事を始めた日)から起算して5日以内に日雇労働被保険者資格取得届に下記の書類のいずれかを添えて住所又は居所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出する必要があります。

  • 住民票の写し
  • 住民票記載事項証明書
  • 運転免許証
  • 国民健康保険資格確認書
  • マイナンバーカード(個人番号カード)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

なお、任意加入による日雇労働被保険者の場合は、5日以内などの期限の定めはなく、いつでも日雇労働被保険者任意加入申請書に上記の書類のいずれかを添えて住所又は居所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出することが可能です。

※年金手帳及び基礎年金番号通知書については、雇用保険法施行規則の令和4年4月1日改正により除外されています。

任意加入の日雇労働被保険者については、平成29年10月1日以降の「業務取扱要領」において被保険者手帳の新規交付を次のように示しているため、任意加入が認可される可能性は低いものと個人的に考えます。任意加入を受けたい方は、事前に管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に確認されることをおすすめします。
「日雇労働者に対し被保険者手帳を交付するのは、当該者が法42条各号のいずれか(日雇労働者であることの要件)及び法第43条第1項第1号から第3号までのいずれか(日雇労働被保険者であることの要件)に該当することとなった場合に限ることとする」(業務取扱要領21頁)

日雇労働被保険者手帳

日雇労働被保険者資格取得届を提出した場合、また、日雇労働被保険者任意加入申請書が認可された場合は、「日雇労働被保険者手帳」が交付されます。

この日雇労働被保険者手帳には、顔写真が貼られます。

顔写真は、①ハローワークで撮影してもらうか、②持参した本人の写真を使用するかを選択することができますので、ご自身の判断で顔写真を持参することも検討されたら良いかと思います。

日雇労働したときは…

雇用保険印紙

日雇労働被保険者手帳を、賃金を受け取る時に事業主に提出して「雇用保険印紙を貼付・消印」してもらうことで、印紙保険料を納付したことになります。

等級賃金日額印紙保険料
1級11,300円176円(労使折半)
2級8,200円以上11,300円未満146円(労使折半)
3級8,200円未満96円(労使折半)

印紙保険料に加えて、通常の労働者と同じように一般保険料も必要となります。

賃金受取日以外でも、日雇労働被保険者手帳を事業主に提出する義務はあります。労働日は毎回日雇労働被保険者を持っていきましょう。

日雇労働求職者給付金の要件

下記の要件を満たす失業した日雇労働被保険者については、雇用保険から日雇労働求職者給付金が支給されることとなります。詳しくは公共職業安定所(ハローワーク)にご相談ください。

  • 普通給付:雇用保険印紙が前2月間に26日分以上納付
  • 特例給付:継続する6月間に各月11日以上かつ通算して78日分以上納付され、かつ他の要件に該当するもの

日雇労働被保険者に関する罰則

日雇労働被保険者を雇用する事業主に対する罰則は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(労働保険徴収法)第46条第1項及び第2項に次のように定められています。

事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。(中略)
一 第二十三条第二項の規定に違反して雇用保険印紙を貼らず、又は消印しなかつた場合
二 第二十四条の規定(印紙保険料の納付状況に関する帳簿の作成・報告)に違反して帳簿を備えて置かず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は報告をせず、若しくは虚偽の報告をした場合

日雇労働被保険者本人に対する罰則は、雇用保険法第85条第1項に次のように定められています。

被保険者、受給資格者等、教育訓練給付金支給対象者又は未支給の失業等給付等の支給を請求する者その他の関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第四十四条の規定に違反して偽りその他不正の行為によつて日雇労働被保険者手帳の交付を受けた場合

もちろんのことですが、上記に加えて、保険料を滞納した場合は追徴金(未納保険料額の25/100に当たる額)が課される場合もありますし、督促があって支払わない場合には差し押さえ等の国税滞納処分の例によって処分される場合もあります。

おぎ社労士事務所は、障害年金専門の社労士事務所ですが、当事務所の理念「少数者の権利をまもる」により、障害年金以外の情報発信もしております。
日雇労働被保険者に関する質問等は、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)までお願いいたします。