額改定請求とは
額改定請求は、障害基礎年金を規定する国民年金法により次のように定められています。
(障害の程度が変わつた場合の年金額の改定)
第三十四条 厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができる。
2 障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
4 障害基礎年金の受給権者であつて、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(当該障害基礎年金の支給事由となつた障害に係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る。以下この項及び第三十六条第二項ただし書において同じ。)に係る当該初診日において第三十条第一項各号のいずれかに該当したものが、当該傷病により障害(障害等級に該当しない程度のものに限る。以下この項及び第三十六条第二項ただし書において「その他障害」という。)の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、当該障害基礎年金の支給事由となつた障害とその他障害(その他障害が二以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、その者は、厚生労働大臣に対し、その期間内に当該障害基礎年金の額の改定を請求することができる。
5 第三十条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
6 第一項の規定により障害基礎年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害基礎年金の支給は、改定が行われた日の属する月の翌月から始めるものとする。国民年金保険法第34条
要約すると、以下のとおりです。
- 更新時に障害の程度が変わっていれば等級を変更する。
- 障害の程度が増進したら額改定請求ができる。
- 額改定請求は、受給権を取得した日又は更新の審査を受けた日から起算して、原則1年以内を経過しないと請求できない。(1年以内に額改定請求ができる場合は、別に定める。)
- 障害基礎年金を受給している方が、1級・2級に該当しない「その他障害」を負った場合は、障害認定日から65歳の誕生日の前々日までに併合して障害の等級が上がる場合にのみ、額改定請求ができる。(1級・2級に該当する場合は、別の規定)
- その他障害の保険料納付要件は必要になる。
- 額改定請求が認められれば、請求月の翌月から額が改定される。
そのため、障害の程度が増進している場合、原則1年を経過すれば額改定請求により増額される可能性があります。
障害厚生年金3級の額改定請求の注意点
障害厚生年金を規定する厚生年金保険法の額改定請求については、上記の国民年金保険法とおおむね同じ内容なのですが、第7項が追記される形で、以下のように定められています。
7 第一項から第三項まで及び前項の規定は、六十五歳以上の者であつて、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る。)については、適用しない。
厚生年金保険法第52条第7項
このため、65歳以降の障害厚生年金3級受給者は、一度1級や2級になったことがある人(障害基礎年金受給権者)でないと、額改定請求をすることができない条件がつきます。
通常、障害厚生年金は、2級以上になると障害基礎年金分も受給され、2階建ての年金になります。
しかし、障害基礎年金及び障害厚生年金の新規裁定請求をする際に、事後重症の場合は65歳未満という年齢要件があります。
例えば、65歳までに一度も障害基礎年金を受給したことがない方は、障害基礎年金の受給権がありません。そのため、66歳で額改定請求により障害厚生年金が3級から1級に変更される場合でも、そもそも受給権のない障害基礎年金部分には、支給されないことになるのです。
65歳以上となると、老齢基礎年金・老齢厚生年金も受給できるようになります。
老齢基礎年金(1階部分)+老齢厚生年金(2階部分)と、障害厚生年金1級どちらが多くもらえるかは、受給者により年金額が変わりますので、よく考えた上で請求することが必要になります。
年金の受給方法(1階部分と2階部分の組み合わせ)については、また後日ブログに掲載しようと思います。
障害手当金を受給した方は、障害年金ではないため額改定請求の対象外です。詳細は別ブログに掲載予定です。
1年を待たずに額改定請求ができる障害状態(新法)
額改定請求は、国民年金保険法第34条第3項に「厚生労働省令で定める場合を除き、(中略)一年を経過した日後でなければ行うことができない」とあるのですが、この厚生労働省令で定める例外(1年を待たずに額改定請求ができる障害状態)について取り上げます。
(新法)は、昭和61年4月以降に障害年金の受給権が発生した方が対象となります。
(旧法)は、昭和61年3月以前に障害年金の受給権が発生した方、つまり昭和61年3月で20歳以上の方を対象とするため、60歳以上かつ40年以上障害年金を受給している方が該当します。
1級に額改定できる障害状態
(現在:2級又は3級の方)
| 障害種別 | 番号 | 障害の状態 |
|---|---|---|
| 視覚 | 1 | 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの |
| 2 | 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの | |
| 5 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの | |
| 6 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの | |
| 聴覚 | 10 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
| 肢体 | 13 | 両上肢の全ての指を欠くもの |
| 14 | 両下肢を足関節以上で欠くもの | |
| 19 | 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る) ※完全麻痺の範囲が広がった場合も含む | |
| 内部 | 20 | 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの |
| その他 | 26 | 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの |
| 27 | 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) |
2級に額改定できる障害状態
(現在:3級の方)
| 障害種別 | 番号 | 障害の状態 |
|---|---|---|
| 視覚 | 3 | 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの |
| 4 | 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの | |
| 7 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの | |
| 8 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの | |
| 9 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの | |
| 聴覚 | 11 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
| 言語 | 12 | 喉頭を全て摘出したもの |
| 肢体 | 15 | 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの |
| 16 | 一上肢の全ての指を欠くもの | |
| 17 | 両下肢の全ての指を欠くもの | |
| 18 | 一下肢を足関節以上で欠くもの | |
| 内部 | 21 | 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの |
| 22 | 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る) | |
| その他 | 23 | 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの |
| 24 | 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る) | |
| 25 | 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
診断書作成時の注意事項
| 番号 | 注意事項 |
|---|---|
| 共通 | 診断書の記入上の注意をご確認ください。 |
| 19 | ・完全麻痺と診断した日及び、その後に経過(再発、麻痺の範囲の拡大、その原因等)がある場合はその経過を診断書の備考欄に記入してください。 記入例「令和○年○月○日、完全麻痺と診断」「□□の再発により○○から△△に範囲が拡大し、範囲拡大部分を令和○年○月○日完全麻痺と診断」 |
| 21 | ・重症心不全に該当しないケースで、心臓再同期医療機器(CRT又はCRT-D)を装着した場合は、診断書の備考欄に装着日を記入してください。 記入例「令和○年○月○日、CRT装着」 |
| 23~25 | ・人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)は新膀胱のことです。 |
| 26 | ・脳死状態※の場合、脳死状態と診断した日を診断書の備考欄に記入してください。 記入例「令和○年○月○日、脳死状態と診断」 ※本請求においては脳幹を含む脳の機能が不可逆的に停止した状態(医学的脳死)をいい、「臓器の移植に関する法律(平成9年7月16日法律第104号)」における法的脳死は含みません。 |
| ・遷延性植物状態の場合、遷延性植物状態と診断した日を診断書の備考欄に記入してください。 記入例「令和○年○月○日、遷延性植物状態と診断」 | |
| 27 | ・人工呼吸器の装着日及び常時装着の有無を診断書の備考欄に記入してください。 記入例「令和○年○月○日以後、人工呼吸器を常時装着」 |




