今日から、確定申告期間が始まりますね。
障害のある方にとって、病院とはきってもきれない縁があります。
そこで必要なのが「医療費」です。
今回はその医療費控除で、遮光眼鏡などの眼鏡が医療費控除の対象となるのかについてお話します。
「治療用装具」と「補装具」は別物です!
・治療用装具は、健康保険と医療費控除が適用される。
・補装具は、補装具費支給制度が適用される(健康保険と医療費控除は適用されない)。
眼鏡の場合は、次の3つに分類できます。
・一般的な眼鏡
・小児弱視治療用眼鏡等の治療用装具
・遮光眼鏡等の補装具
そのため、遮光眼鏡は補装具に該当するため、補装具費支給制度が適用され、健康保険と医療費控除は適用できません。
一方、小児弱視治療用眼鏡や白内障術後用の保護メガネなど、健康保険が適用される眼鏡には、医療費控除の対象にもなります。
ただ、以下の国税庁の医療費控除に関するウェブページを見てみましょう。
医療費控除の対象となる医療費として、次のような事項が掲載されています。
9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術または分べんの介助を受けるために直接必要なもの
(1)医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの
(2)医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用
私は、網膜色素変性症患者として遮光眼鏡を使用していますが、視細胞を保護するという観点からすれば、医療費控除が受けられるのではないか…?と思ったことがありましたので、詳しく調べてみました。
所得税基本通達による規定
国税庁が発出している「所得税基本通達」は、医療費控除が規定されている所得税法の解釈について示されているものです。
その医療費控除に関する部分については、以下のように示されています。
(控除の対象となる医療費の範囲)
73-3 次に掲げるもののように、医師、歯科医師、令第207条第4号《医療費の範囲》に規定する施術者又は同条第6号に規定する助産師(以下この項においてこれらを「医師等」という。)による診療、治療、施術又は分べんの介助(以下この項においてこれらを「診療等」という。)を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれるものとする。(平11課所4-25、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)(1) 医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの
(2) 自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用
(3) 身体障害者福祉法第38条《費用の徴収》、知的障害者福祉法第27条《費用の徴収》若しくは児童福祉法第56条《費用の徴収》又はこれらに類する法律の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの並びに(1)及び(2)の費用に相当するもの
先に挙げた「医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用」と「自己の日常最低限の用をたすために供される」では、意味合いが少し異なるように思いますが、その前提として、「診療等を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれる」ということになっています。
つまり、診療を受けなければならないくらいの日常最低限の医療用器具なのであれば、医療保険により3割負担で対応しており、医療に必要であることが明白であるため、医療費控除の対象にしているものと考えられます。
マニュアル上での解釈
また、補聴器や義肢等については、治療用装具とされる場合と補装具とされる場合があり、少々難しいところです。以下のマニュアルでは、次のように示されています。
Q6 医療保険で作製した装具が壊れました。また保険で作製できるのでしょうか?。
A 医療保険制度で作製する装具等は治療を目的として作製するもので「治療用装具」と言われています。同一疾患の治療に同じ名称の装具の場合、原則として1回の作製に保険が適用されます。ただし、病状が変化して、さらなる治療を目的とする場合は保険適用となることがあります。
例えば、脳卒中片麻痺の短下肢装具は歩行訓練を目的に医療保険で1個目の作製を行いますが、2個目の作製が必要な場合、一般的には身体障害者手帳認定がなされ、障害者総合支援法での作製となります。義足の場合でも訓練用義足、仮義足として医療保険で1個目を作製し、2個目は本義足として障害者総合支援法で補装具として作製します。
一方、慢性的な腰痛治療で体幹装具を作製する場合、身体障害者手帳の対象にはならないので、耐用年数(例:軟性腰椎装具1.5年)が過ぎたのちであれば2個目でも医療保険の対象となる場合がありますQ7 義肢・装具の作製にあたり、障害者総合支援法と医療保険のどちらの制度を利用するか、その考え方について教えてください。
A 治療的要素のある場合は医療保険での作製が基本となります。治療的要素が少なく日常生活や就学・就労のために長期にわたって使用するなど、継続した使用が見込まれる場合は障害者総合支援法で対応することが適当と考えます。
たとえば、脳卒中後遺症による片麻痺に処方される短下肢装具では、初回の作製は医療保険で行い、医療の場で治療効果を確認する過程が必要でしょう。関節疾患等の疼痛緩和を目的とする装具では、少なくとも初回は医療保険で対応し、医師の管理下で治療効果を診るプロセスが必要でしょう。疼痛の原因が悪性疾患等によるものではなく、装具治療が可能で、装具の使用によって疼痛緩和が得られていることが臨床上明らかとなり、今後も生活のなかで長期にわたって使用する必要がある場合、次回の支給からは障害者総合支援法による支給を検討することになります。
つまり、このマニュアルでは、訓練用の義足や仮義足は、使い続けるか未定のため一度医療保険にて使用し、日常生活で使うようになる本義足は、補装具とするべきであるとされています。
所得税基本通達にあったように、「診療等」には「治療」が含まれています。
医療費控除の医療費を「治療を受けるために直接必要な費用」と考えるのであれば、補装具は、「治療的要素が少ない」ものであり、医療費控除の対象から除外されるとみることができます。
補足(補聴器について)
補聴器相談医による「補聴器適合に関する診療情報提供書」があれば、医療費控除の対象となる場合もあるとされています。
初めて補聴器を使用する場合で、実際に使用して治療効果を確認する必要があるとされれば、治療用装具として「医療保険+医療費控除」の適用ができるようになります。
一方、補装具として補聴器を取得した場合は、医療費控除を受けることはできません。
まとめ
最初に述べたように、原則は以下のように取り扱われています。
・治療用装具は、健康保険と医療費控除が適用される。
・補装具は、補装具費支給制度が適用される(健康保険と医療費控除は適用されない)。
ただ、医師の診断等による用具に関する医療費控除については、所得税法やその施行令・施行規則にも規定がなく、あくまで、解釈として所得税基本通達を基に示されているものになります。
また、「おむつ」や「ストマ用装具」といった医療保険で適用とならないものの医療費控除の対象となるものもありますので、下記の国税庁のパンフレットを参考に、自分には何が当てはまるのか確認してみて下さい。
もし、医療費控除を忘れていた場合でも、「更正の請求」をすることにより、治療用装具やおむつ、ストマ用装具の費用による医療費控除を過去5年分の確定申告(所得税・住民税)に適用することができます。
治療用装具やおむつ、ストマ用装具などは領収書が必要になりますが、それ以外の医療機関に受診した際の医療費は、マイナポータルと連携することにより、医療費のデータがすべて出てきますので、領収書をなくしていても大丈夫です。
以下の「確定申告書等作成コーナー」→「提出した申告書に誤りがあった場合」→「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」から電子申告や書類作成ができます。
一人で作成することが難しい場合は、電話相談センターや、管轄の税務署までお問い合わせください。
本ウェブページは、あくまで当事者一個人の見解です。医療費控除の詳細ついては、国税庁の(確定申告)電話相談センターもしくは管轄の税務署までご相談ください。



