加齢黄斑変性による障害年金

加齢黄斑変性

日本眼科学会によると、加齢黄斑変性(AMD)は、「加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気」とされています。

網膜は目の裏側にある、カメラで言うとフィルムに当たる部分です。
ここの中心部を黄斑といい、一番視力が出る部分となります。

一番視力が出る黄斑が、障害を受けることで視力が著しく低下し、さらには物が歪んで見える変視症や、視野の中心部分が見えなくなる中心暗点などの症状が出てくる場合もあります。

2024年には、「新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン」が示され、今までの分類から「萎縮型」と「新生血管型」(旧:滲出型)に変更されています。

このガイドラインでは次のような指摘もあり、萎縮型も含めた加齢黄斑変性については、完治は不可能な病気であり、適切な治療と長期管理を行う必要のある病気といえます。

現時点で新生血管型AMDの完治は不可能であり、適切な治療と長期管理を行わないと不可逆的な視力低下を容易に引き起こす。MNVの活動性が一時的に落ち着いていても長期経過で再発すること、滲出を繰り返すことで萎縮性変化や線維性瘢痕を合併し視力が著しく低下すること、僚眼にもMNVが高率に生じることなどを念頭に,管理を行う必要がある。

「新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン」695頁

視覚障害の等級表

視力障害の等級表

障害年金の視力障害の等級表は、下記のとおりです。

障害等級表

視野障害の等級表

障害年金の視野障害のうち、自動視野計による等級表は、以下のとおりです。

等級障害の状態
1級・両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級・両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
3級・両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
障害
手当金
・両眼開放視認点数が 100点以下に減じたもの
・両眼中心視野視認点数が40 点以下に減じたもの

障害年金の視野障害のうち、ゴールドマン型視野計による等級表は、以下のとおりです。

等級障害の状態
1級・両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
2級・両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
・求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、I/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
3級・両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの
障害
手当金
・I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの
・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの

加齢黄斑変性による障害年金

視力障害で請求する場合

加齢黄斑変性は、変視症や中心暗点等により、治療しなければ視力が低下する場合があります。

上記の視力障害の要件に適合している方は、視力のみで障害年金を申請することが可能です。

視野障害で請求する場合

加齢黄斑変性症の方の視野については、アムスラーチャートを使用したことはあるものの、ゴールドマン型視野計や自動視野計による視野検査はしたことがないという方も耳にします。

おそらく、令和3年以前の障害年金の障害認定基準に、「中心暗点のみの場合は、原則視野障害として認定は行わないが、状態を考慮し認定する」とあったため、中心暗点のある黄斑変性患者に対して、視野検査をしても診断書に記載できない、視野検査の必要性が低いと思われているのではないかと推察します。

現在は、中心暗点のある黄斑変性患者でも視野障害により障害年金を受給することができるようになりました。

また、中心暗点に関しては、障害認定基準において下記のように定められています。

Ⅰ/4の視標で、中心10度以内に視野が存在しない場合は、周辺視野角度の和が80度以下として取り扱う。
Ⅰ/2の視標で中心10度以内に視野が存在しない場合は、中心視野角度の和は0度として取り扱う。

つまり、中心暗点が広がり中心10度に視野がなければ、下記の等級に該当する可能性があることとなりました。

等級障害の状態読み替え
1級ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のものI/4視標&I/2視標が中心10度以内にないもの
3級ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたものI/4視標のみ中心10度にないもの
障害手当金ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたものI/2視標のみ中心10度にないもの

もちろん、この条件に該当するには、「両眼ともに」中心10度に視野がないことが必要です。

それ以外の状態でも、上記視野障害の等級表に該当する場合は、障害年金を受給することができます。

視力+視野で請求する場合

加齢黄斑変性は、視力の低下と視野異常(中心暗点)を併発する場合がありますので、障害を併合して請求することも検討する場合があります。

例えば、下記のパターンに該当する場合は、視力障害と視野障害を併合することで、ひとつの障害より障害等級が上がります。

視力障害視野障害併合等級
視力の良い方の眼の視力が0.1以下のもの(障害手当金)ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの(3級)2級
視力の良い方の眼の視力が0.6以下のもの(障害手当金)ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの(障害手当金)3級

障害年金を受給するためには、上記の障害要件に加え、保険料納付要件初診日要件を満たす必要があります。

自分がどの状態に該当するのか分からないという方は、おぎ社労士事務所のLINEに視野検査結果を送っていただければ、目安判定をお伝えすることもできます。

「もしかしたら…」「念のため…」で構いません。
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